ディアジオのカーデュ蒸溜所で4月下旬、洗浄用の苛性ソーダがスペイ川の支流に流れ込みました。魚やウナギ、カエルなど最大約3,000匹が死んだとされ、スコットランド環境保護庁(SEPA)が調査しています。
ディアジオは、地元の環境に与えた被害について「心からお詫びする」としています。
小さな支流に苛性ソーダが流れ込み、最大約3,000匹が死んだ

苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)は、蒸溜所で銅の蒸溜器や配管を洗うために使う、腐食性の強い薬剤です。
流れ込んだのは川幅の小さい支流で、薬剤が薄まりにくかったと報じられています。
被害は2キロほどの区間に及び、サケ、マス、ウナギ、カエル、水生の小さな生き物が死にました。3,000匹という数字は、確認されたものではありません。

SEPAは原因を調べています。一部の報道は、バルブが誤って開いたままになり、洗浄用の薬剤が直接川に流れたとしています。ディアジオは、管理の仕組みを更新したと説明しています。

回復の見通しは、5年から数十年まで

スペイ川の漁業委員会の責任者は、この川で36年働いてきた中でも最大級の汚染事故のひとつで、避けられた事故だったと話しています。
支流のサケの数が戻るまでは、5年ほどと見ています。一方、同じ委員会の委員を務める元議員は、数十年かかると話しています。水生の小さな生き物がいなくなり、魚のエサが断たれたためです。
スペイ川は、大西洋サケや法律で保護されているカワシンジュガイが暮らす川です。スコットランドの野生サケは、1970年代の約100万匹から7割ほど減ったとされています。事故は、スペイ川の釣りのシーズンの最中でした。
2022年のグレンフィディックで同様の事故

スペイサイドの蒸溜所は、過去にも川への漏出でSEPAの対応を受けています。2022年1月には、ウィリアム・グラント&サンズのグレンフィディック蒸溜所で発酵液が漏れ、フィディック川の1.3キロで下水菌が増えました。
2018年には、シーバス・ブラザーズのグレンキース蒸溜所で約300リットルの油が、アイラ島とは別のアイラ川の4キロに流れました。
2社はSEPAに、違反を償うための自主的な申し出を出し、環境団体への寄付(どちらも1万2,000ポンド、約250万円)と、SEPAの調査費用の一部(2,500ポンド、約53万円と9,600ポンド、約200万円)を支払いました。確認された影響は水生の小さな生き物にとどまり、魚の死は報じられていません。今回は魚やウナギが大量に死んだとされ、被害の大きさが違います。
SEPAは調査の後に措置を決め、起訴に値すると判断すれば、検察当局に報告できます。報道では、SEPAが科せる罰金は最大4万ポンド(約840万円)で、起訴されれば罰金はさらに大きくなり、個人には禁錮刑もありえるとされています。2023年には、環境保護団体や元SEPA理事から、汚染した企業への対応が軽すぎるという指摘が出ていました。
ディアジオは再生計画を協議中。カーデュは人員削減の対象にも入る
ディアジオは、SEPAと緊密に連携していると説明しています。地域の再生と回復のための長期計画も、関係者と話し合っています。
カーデュは、ディアジオの人員削減の対象にも入っています。8月には、カーデュ、クラガンモア、ポート・エレン、ダフタウンの4蒸溜所で、172人が対象になったと報じられました。
カーデュを含む4蒸溜所の人員削減は、BARRELでも取り上げました。
ディアジオは、3年で10億ドル(約1,580億円)のコスト削減を掲げ、従業員は6%以上減っています。事故の原因と、人員削減やコスト削減との関係は、発表されていません。
カーデュは、ジョニーウォーカーのブレンドに使われる主要な原酒のひとつで、日本でも12年などのシングルモルトが流通しています。今後は、SEPAの調査結果と、起訴するかどうかの判断を待つことになります。










