2015年の初リリース以来、バーボンウイスキーの世界で革新的な試みを続け、数々の賞賛を浴びてきたワイルドターキーの限定シリーズ「マスターズキープ」。
日本でもワイルドターキーのプレミアムラインとして、愛されてきました。
その10年にわたる輝かしい歴史が、ついに最終章を迎えます。
シリーズの最後を飾るボトル、「マスターズキープ・ビーコン」が、2025年9月より全世界で限定発売されることが発表されました。
「マスターズキープ」というシリーズの評価
まず、「マスターズキープ」がアメリカンウイスキーの世界でいかに重要なシリーズであったかを振り返る必要があります。
このシリーズは、伝説的なマスターディスティラー、ジミー・ラッセルの息子であるエディー・ラッセル氏が、ワイルドターキーの伝統的な力強いスタイルを超え、新たな表現を探求するために2015年に立ち上げました。
17年という超長期熟成や、異なるウイスキーとのブレンド、シェリー樽フィニッシュなど、彼の個人的な実験と創造性を反映したボトルは、リリースされるたびに高い評価を獲得。
コレクターズアイテムとして、またアメリカンウイスキーの可能性を押し広げたシリーズとして、業界で確固たる地位を築いてきました。
過去と未来を繋ぐ、父と子のブレンド
最終章となる「ビーコン」は、ワイルドターキーの過去と未来、そしてラッセル家の血筋の物語が、液体として表現されています。
このブレンドは、エディー・ラッセル氏と、彼の息子であり次世代を担うブルース・ラッセル氏の父子による共同作業で生み出されました。
エディーが選んだ「過去」の原酒: ブレンドの一翼を担うのは、2007年から2008年に蒸留された16年熟成のバーボン。これは、2011年に大規模な拡張工事が行われる前の、旧ワイルドターキー蒸溜所でエディー氏自身が仕込んだ、最後の樽の一部です。もはや再現不可能な、消えゆく歴史そのものがボトリングされています。
ブルースが選んだ「未来」の原酒: もう一方は、2015年に蒸留された10年熟成のバーボン。これは、ブルース氏が祖父ジミー、父エディーと共に、家業に加わって初期に手掛けた原酒の一つです。新しい蒸溜所と、ラッセル家の3代目を象徴する、未来へのバトンと言えるでしょう。
味わいと製品情報
過去と未来、二つの時代の原酒が融合した「ビーコン」は、シリーズで最も高いアルコール度数となる59%でボトリングされています。
テイスティングノート:
ダークフルーツとチェリーの香りに、ハチミツ、バニラ、コーラが続く。味わいは、キャラメルシュガーやトフィーのような甘さに、紅茶と温かいベーキングスパイスのニュアンス。フィニッシュは長く温かく、熟成したオークとレザーの印象が残る。
製品情報:
商品名: ワイルドターキー マスターズキープ・ビーコン
アルコール度数: 59%
希望小売価格: 300ドル(約50,000円)
「ビーコン」とは「灯台」を意味します。
このボトルは、マスターズキープという10年間の革新的な旅路を締めくくると同時に、ラッセル家の過去の偉業を照らし出し、そしてブルース・ラッセルという次世代がこれから進むべき道を指し示す、まさに灯台のような存在です。
マスターズキープシリーズはこれで終わりを迎えますが、その遺した光は、これからもバーボンの世界を明るく照らし続けることでしょう。