シェリー樽熟成のスペシャリストとして、世界中のウイスキー愛好家から絶大な支持を得る、ハイランドのグレンドロナック蒸溜所。
その約200年にわたる歴史と技術の集大成とも言える、二つの超長期熟成ボトルが同時に発表され、大きな注目を集めています。
新たな挑戦:30年熟成に加わった「アモンティリャード樽」

まず一つ目は、「グレンドロナック 30年」。今回のリリースが特に画期的なのは、その熟成樽の構成にあります。
グレンドロナックの伝統であるオロロソシェリー樽と、極甘口のペドロ・ヒメネス(PX)シェリー樽。これらに加え、ブランド史上初めてアモンティリャードシェリー樽で熟成された原酒がブレンドされました。アモンティリャードは、オロロソとフィノの中間的な辛口タイプのシェリーで、ナッティな香ばしさが特徴です。
マスターブレンダーのレイチェル・バリー氏は、このブレンドを「最も歴史あるシェリー樽のスタイルから交響曲を構成した」と表現。アモンティリャード樽がもたらす「トーストしたヘーゼルナッツとまろやかなクレームカラメル」のニュアンスが、既存の二つの樽のスパイシーなフルーツ香に、新たな層を加えているとのことです。
熟成年数: 30年
熟成樽: オロロソ、ペドロ・ヒメネス、アモンティリャードシェリー樽
アルコール度数: 46.8%
販売本数: 全世界5,000本限定
希望小売価格: 1,000ポンド/1,300ドル(約21万円~21万5,000円)
伝統の極み:40年熟成、僅か300本の希少性
もう一つは、グレンドロナックの伝統的なスタイルを極限まで突き詰めた「グレンドロナック 40年 2025エディション」です。
こちらは、スパニッシュオークのオロロソシェリー樽とペドロ・ヒメネス(PX)シェリー樽で40年という長大な熟成を経た、ごく少数の樽のみを厳選してブレンド。レイチェル・バリー氏が「グレンドロナックの究極の表現」と語る、まさにブランドの到達点です。
その味わいは、ブラックチェリーやブラックベリーの香りに、ブラックカラントやブランブル(キイチゴ)のコンポートのような、濃厚で深みのあるフレーバーが特徴とされています。
特筆すべきはその希少性。全世界でのリリースはわずか300本と、コレクター垂涎の的となることは間違いありません。
熟成年数: 40年
熟成樽: オロロソ、ペドロ・ヒメネスシェリー樽
アルコール度数: 43.9%
販売本数: 全世界300本限定
希望小売価格: 5,000ポンド/6,700ドル(約105万円~110万円)
一つは、新たな樽種との出会いで革新を。もう一つは、伝統的な手法で時間の深淵を覗く。
グレンドロナックが同時に放つこの二つのボトルは、シェリー樽熟成という芸術がいかに奥深く、そして無限の可能性を秘めているかを、改めて私たちに示してくれます。