ザ・グレンリベットを所有するシーバス・ブラザーズ社(ペルノ・リカール・グループ)は2025年11月6日、オークションハウスのサザビーズと提携し、「ザ・グレンリベット エターナル・コレクション、セカンド・エディション、56年、1 of 1」を発表しました。
2025年11月6日から20日まで開催されるサザビーズの「ファイネスト&レアレスト・ウイスキー」オークションに出品されます。

56年の熟成と特別な樽仕上げ

このリリースは、昨年の55年物に続く「エターナル・コレクション」の第2弾として発表されました。アルコール度数は42.7%でボトリングされています。
特筆すべきはその熟成工程です。マスターブレンダーのケビン・バルムフォース氏が、スペインのシェリー供給業者と協力し、オロロソ、ペドロ・ヒメネス、パロ・コルタドの3種を組み合わせた特別なシーズニング(風味付け)ブレンドを開発しました。
このブレンドで新しいスパニッシュオーク樽をシーズニングした後、ウイスキー原酒がこの樽に移され、4年以上にわたる仕上げの熟成が行われました。
この特注のシェリー樽での熟成と、アメリカンオーク樽での熟成の組み合わせにより、ザ・グレンリベットの特徴である果樹園のフルーツや蜜のような豊かさに加え、バニラやトフィーの層が加わっていると説明されています。
公式に発表されているテイスティングノートは以下の通りです。

香り: ポーチド・プラム(プラムのシロップ煮)、ねっとりとしたデーツ、濃厚なダークチョコレートのガナッシュ。
味わい: フレッシュなブラックベリー、熟したバナナ、チェリーコンポート。
フィニッシュ: ビロードのように甘く複雑。ダークチョコレートの余韻が長く続く。
ボトルと台座の意匠

「1 of 1」(世界に1本)のリリースとして、その外観も特別な仕様となっています。
球形のガラスデキャンタは24カラット(24金)の金でメッキされ、スペイサイドの自然を反映したヒース(ヘザー)の枝の金色の彫刻が施されています。
特注のボトルストッパーには、137.73カラットという非常に大きなラボグロウン(人工)のパライバ・トルマリンの類似石がセットされています。
ウイスキーは、著名なアーティストデュオ「フレッドリクソン・スタラード」によって制作された彫刻的な台座(プリンス)と共に提供されます。台座はグアテマラ産グリーンマーブル(大理石)を基部に、24カラットの金でメッキされた3Dプリントのヒースの枝が伸びるデザインとなっています。
オークションと慈善活動
このボトルはサザビーズのオークションのみで提供され、落札推定価格は3万5,000~7万英ポンド(2025年11月7日時点の為替レートで約647万~1295万円)と見積もられています。
オークションの収益は、スコットランド・ナショナル・トラストに寄付されます。ザ・グレンリベットと同トラストの5年間のパートナーシップの一環として、浸食の脅威にさらされているケアンゴームズ国立公園内の考古学的遺跡の発掘作業を支援するために使用される予定です。
市場の背景
シーバス・ブラザーズとサザビーズの提携は、希少なウイスキーのコレクター市場を強く意識した動きです。
2025年10月10日に開催されたチャリティーオークション「ディスティラーズ・ワン・オブ・ワン」では、同じくザ・グレンリベットの「SPIRA 60年 1965」が65万英ポンド(同、約1億2000万円)という記録的な価格で落札されました。これは同ブランドのオークション史上最高値であり、このチャリティーオークションにおける単一ボトルの最高記録ともなっています。
サザビーズのグローバル・ヘッド・オブ・スピリッツであるジョニー・ファウル氏は、「(ウイスキーの)オークション市場が安定しても、真に卓越した液体への需要は揺るぎない」と述べており、希少性や芸術性を伴ったウイスキーへの関心が引き続き高いことを示しています。
56年の熟成年数、特注の樽仕上げ、そしてアート作品としての外観を兼ね備えた今回のボトルが、オークションでどのような評価を受けるのか注目されます。









