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米バーボンが北海道のミズナラ樽で熟成?世界が熱望する日本の樽の秘密

米バーボンが北海道のミズナラ樽で熟成?世界が熱望する日本の樽の秘密

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ア革新的な試みで知られるバーズタウン・バーボン・カンパニーが、なんと日本の北海道産ミズナラ樽で仕上げた特別なバーボン「ホッカイドウ・ミズナラ・オーク・バレル・フィニッシュ」を発表しました。

なぜアメリカのバーボンに「北海道」の名が?
その背景には、世界が注目する日本のウイスキー造りの核心と、ミズナラ樽を巡る奥深い物語がありました。

異色のバーボン「北海道ミズナラ樽フィニッシュ」とは

今回発表された「ホッカイドウ・ミズナラ・オーク・バレル・フィニッシュ」は、バーズタウン蒸留所が実験的なウイスキー造りに挑戦する「ディスティラリー・リザーブ」コレクションの最新作です。

その内容は、まさにアメリカと日本のクラフトマンシップの融合と言えるでしょう。

ケンタッキー、インディアナ、テネシー各州で9年から18年熟成された複数のストレートウイスキーをブレンド。その原酒を、はるばる北海道から運ばれたミズナラ樽に移し、28ヶ月間もの時間をかけて追加熟成(フィニッシュ)させています。

テイスティングノートには「リッチなキャラメル、トーストしたオーク、バニラに、サンダルウッド(白檀)、繊細なココナッツ、そしてお香のかすかな香り」といった言葉が並びます。バーボンならではの力強さに、ミズナラ樽特有のオリエンタルで落ち着いた香りが重なり合う、複雑でユニークな味わいが期待されます。

この特別なウイスキーは、2025年7月11日より、375mlボトルで蒸留所のギフトショップ限定で発売されます。価格は99.99ドル(約15,500円)で、その希少性の高さがうかがえます。

【製品概要】

  • 製品名: ホッカイドウ・ミズナラ・オーク・バレル・フィニッシュ

  • アルコール度数: 54.65% (109.3プルーフ)

  • 発売日: 2025年7月11日

  • 価格: 99.99ドル (約15,500円)

  • 販売場所: バーズタウンおよびルイビルの蒸留所ギフトショップ限定

なぜ世界はミズナラ樽に惹かれるのか

そもそも、なぜアメリカの蒸留所がこれほどまでに手間とコストをかけて日本のミズナラ樽を使いたがるのでしょうか。

ミズナラは「ジャパニーズオーク」とも呼ばれ、ウイスキーを熟成させるとサンダルウッドやお香のような、伽羅(キャラ)を思わせる独特のオリエンタルな香りを生み出すことで知られています。この唯一無二の風味が、世界中のウイスキー愛好家や造り手を魅了しているのです。

しかし、ミズナラは樽材として使えるようになるまで200年以上もの歳月を要し、その材質は硬く加工が非常に難しいという特性があります。さらに、日本の厳しい伐採規制も相まって供給量は極めて限られており、アメリカンオークやヨーロピアンオークの樽に比べて圧倒的に高価で希少な存在です。

バーズタウン・バーボン・カンパニーのような革新的なメーカーにとって、この希少性と独特のフレーバープロファイルこそが、他にはない特別な価値を生み出す源泉となっているのです。

世界の需要を支える北海道のサプライチェーン

この希少なミズナラ樽は、どこで、どのようにして造られているのでしょうか。その答えは、製品名にもある「北海道」にあります。

北海道は、ミズナラ資源が豊富なだけでなく、その樽を製造し、世界へ供給する専門企業が存在します。例えば、道内には伐採から加工までを一貫して管理し、アメリカを含む海外への輸出実績を持つ「北海道の森」のような企業があり、今回のバーズタウンの挑戦を支えた可能性が考えられます。

また、地方自治体もこの貴重な資源に注目しています。山林資源が豊かな幌延町では、地元のミズナラ材を使い、国内唯一の洋樽専門メーカー「有明産業株式会社」で樽を製造して地域振興に繋げるプロジェクトも進んでいます。

こうした専門企業や地域の取り組みが連携することで、ミズナラという希少な木の価値を守りながら、世界の需要に応える供給体制が築かれているのです。

北海道から始まるウイスキーの新たな未来

バーズタウン・バーボン・カンパニーの今回の試みは、単なる一つの新製品のニュースに留まりません。これは、世界のウイスキー市場における大きな潮流を象徴しています。

現在、北海道の千歳市では、外資系企業による国内最大級のウイスキー蒸留所(IJWウイスキー)の建設計画が進行中です。これは、世界的な「ジャパニーズウイスキー」ブームを背景に、北海道がウイスキー生産の新たな世界的拠点として注目されている証拠と言えるでしょう。

ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝が「北の風土がウイスキーを育む」と余市の地を選んだように、北海道の冷涼な気候はウイスキーの熟成に適しています。この自然環境と、ミズナラという世界に誇るユニークな資源が組み合わさることで、北海道はこれからも世界のウイスキー産業において重要な役割を果たしていくに違いありません。

ケンタッキーで生まれたバーボンが、北海道のミズナラ樽で新たな個性を得る。この一杯のウイスキーは、国境を越えた技術と情熱の結晶であり、ウイスキーの世界が持つ無限の可能性を感じさせてくれます。北海道の樽、そしてウイスキー産業の未来から、ますます目が離せません。




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