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グレンウィヴィス、約9,500万円調達。「創業者との確執」を超え10年熟成へ

グレンウィヴィス、約9,500万円調達。「創業者との確執」を超え10年熟成へ

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スコットランド・ハイランド地方、ディングウォールに位置する「グレンウィヴィス蒸留所」が、経営の安定化に向けた大きな一手を打ちました。

同蒸留所は英国の社会的投資ファンド「カタリスト・ファンド(Catalyst Fund)」より、50万ポンド(約9,500万円)の融資を確保したとのこと。

グレンウィヴィスといえば日本で同ブランドを支えてきた正規代理店・株式会社ラダー(RUDDER)と、そのファンにとっては「待ちに待った朗報」と言える内容です。その背景にある「お家騒動」と「熟成の未来」について解説します。

「10年熟成」を売らずに待てるか

今回確保された50万ポンドの主な使途は、運転資金の確保と熟成庫の拡張です。

新興蒸留所にとって最大の敵は「キャッシュフロー」です。現金を作るためには、熟成の若い3〜4年の原酒を販売し続けなければなりませんが、それではブランドの評価が「未熟なウイスキー」で固定されてしまうリスクがあります。

今回の融資により、グレンウィヴィスは「原酒を売らずに寝かせる体力」を手に入れました。蒸留所側は公式に「2030年代初頭まで在庫を維持するための呼吸空間(Breathing space)を得た」とコメントしており、これは事実上の「10年熟成」リリースの確約宣言とも取れます。

影を落としていた「お家騒動」

本件を深く理解するためには、避けて通れない背景があります。実はグレンウィヴィスは近年、土地の所有者であり創業者でもあるジョン・マッケンジー氏と、現在の運営委員会との間で、賃貸契約や経営方針を巡る泥沼の法的紛争(Dispute)を抱えていました。

「100%コミュニティ所有(地域住民が出資)」というクリーンな看板の裏で、経営陣は不安定な足場での操業を強いられていたのです。

今回のカタリスト・ファンドからの融資は、第三者機関が現在の運営体制の将来性を「是」と認めたことを意味します。これにより、蒸留所は創業者の影から脱却し、純粋なウイスキーメーカーとしての地盤を固めたと言えます。

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日本市場:ラダーの「忍耐」が報われる時

日本市場に目を向けると、正規代理店である株式会社ラダーの地道な奮闘が見えてきます。

ラダーといえば、北梶代表を筆頭に、ウイスキー愛好家を唸らせるブランド選定で知られるインポーターです。彼らがグレンウィヴィスをポートフォリオに加えた際、一部のファンからは「まだ若いのではないか?」という声もありました。

実際、これまでのリリース(バッチ1、バッチ2)は、ニュースピリッツの質の高さは感じさせるものの、若さゆえの荒削りさが否めない評価でした。しかしラダーは、日本向けシングルカスクの投入や、代表の北梶氏による精力的なセミナー開催など、短期的な売上よりも「ブランドの育成」に注力してきました。

プロが選んだ「大器晩成」

ラダーがこれほどまでにリソースを割く理由は、ディングウォール産のこの原酒が持つポテンシャル(特にワクシーでフルーティーな酒質)が、長期熟成によって化けることを確信しているからでしょう。

今回の9,500万円の調達により、ラダーは今後、5年、8年、10年と、確実にステップアップしていく原酒を日本に紹介できるルートを確保したことになります。

派手な話題先行型の蒸留所が多い中、地味ながらも着実に熟成を深めるグレンウィヴィス。今のうちに若いボトルを一本買っておき、数年後にリリースされるであろう「10年」と飲み比べるのが、最も通な楽しみ方になりそうです。




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