世界第2位のスピリッツ・ワイングループである『ペルノ・リカール』が、大規模な組織再編とそれに伴う主要拠点の最高経営責任者(CEO)人事を発表しました。
2026年1月、同社は市場への迅速な対応と意思決定の効率化を目的に、従来の組織構造を抜本的に見直します。
今回の再編では、世界市場を10のマーケット・クラスターに集約し、各地域の自律性を高める体制へと移行します。
意思決定のスピードを加速させる10のマーケット・クラスター体制

今回の組織再編の最大の柱は、世界の販売網を10の戦略的な管理事業体へと統合することです。
これまで独立した部門として機能していた「グローバル・トラベル・リテール」事業を、それぞれの地域のマーケット・クラスターへと統合。
これにより、免税店市場と国内市場の連携を強化し、より一貫性のあるブランド戦略の展開を目指します。ウイスキー市場におけるトラベル・リテール(免税店)は、高価格帯商品や限定品を披露する重要なショーケースです。
この部門を地域組織に組み込むことで、現地のトレンドや消費者の動向をより迅速に商品展開へ反映させる狙いがあります。
同社はこの新体制により、変化の激しいアルコール市場において、現場に近い場所での迅速な意思決定を可能にすると説明しています。
北米とフランスを重視するトップ人事の刷新
組織再編に伴い、グループ内の最重要市場である北米および本国フランスのリーダーシップが刷新されました。
『ペルノ・リカール・ノースアメリカ』の会長兼CEOには、フィリップ・ゲッタ氏が就任します。
ゲッタ氏はこれまでペルノ・リカール・アジアのトップを務め、アジア市場における同社のプレゼンス拡大に大きく貢献してきた実力者です。
世界最大のウイスキー消費市場である米国において、ゲッタ氏が培ってきたアジアでの成長戦略がどのように適用されるのかが注目されます。
一方で、グループの拠点であるフランス市場の責任者には、ジル・ボガート氏が指名されました。
ボガート氏はこれまでEMEA(欧州・中東・アフリカ)および中南米地域を統括してきた経験を持ちます。
成熟市場であるフランスにおいて、伝統を守りつつ、Z世代を含む新しい消費者層へいかにアプローチするかが同氏の課題となるでしょう。
世界戦略の変化が日本のウイスキーファンに与える影響

『シーバスリーガル』や『ザ・グレンリベット』、『ジェムソン』といった強力なブランドを擁するペルノ・リカールの組織変更は、日本市場にも無視できない影響を及ぼします。
日本はアジア圏における戦略的拠点の一つであり、今回の再編によってより地域に密着したマーケティングが期待されます。
特に、日本の新興蒸留所が世界進出を目指す際、ペルノ・リカールのようなグローバル企業の動向は一つの大きな指標となります。
彼らが「どの市場に重点を置いているか」「免税店市場をどう活用しているか」を分析することは、日本の造り手にとっても有益な情報です。
また、北米市場のトップにアジアの経験豊富なリーダーが就任したことで、アジア発のプレミアムスピリッツが北米でさらにプッシュされる可能性も考えられます。
これは、ジャパニーズウイスキーが世界市場、特に北米で競争力を維持するためのヒントになるかもしれません。










