以前ニュースにした、世界最長熟成となる「グレンリベット 85年 1940」がついにリリースです。
もはや、歴史、アート、そして未来への遺産が融合した、飲むことのできる芸術作品と言っていいでしょう。
85年という「奇跡」の液体

まず特筆すべきは、85年という熟成年数そのものが、いかに奇跡的であるかという点。
ウイスキーは樽の中で熟成する間、エンジェルズシェア(天使の分け前)として少しずつ蒸発していきます。
85年という歳月を経れば、中身がほとんどなくなったり、アルコール度数が法廷基準の40%を下回ったりするのが通常です。

このボトルがウイスキーとして現存していること自体が、G&Mが130年以上にわたって培ってきた、樽の選定、管理、そして熟成に関する比類なき知見と技術の結晶と言えるでしょう。
この奇跡の液体は、1940年2月3日に、G&Mの歴史における最重要人物の一人、ジョージ・アーカート氏(通称:ミスター・ジョージ)とその父ジョン氏によって、一本のファーストフィル・シェリーバットに詰められました。シングルモルトがまだブレンド用の原酒としか見なされていなかった時代に、長期熟成の可能性を信じた彼らの先見の明が、85年の時を経て花開いたのです。
テイスティングノート
香り: エイジドレザー、アプリコットのコンポート、シナモン、柑橘から、バニラや蜜ろうのニュアンスへ。ほのかなスモークも感じられる。
味わい: 滑らかで力強く、黒コショウや乾燥タバコに続き、セビルオレンジピール、チェリー、プラムがオークと調和する。
フィニッシュ: ハーブを思わせる余韻が長く続く、フルボディ。
建築家ジーニ・ギャングが紡ぐ「オークの芸術性」

この歴史的なウイスキーを収めるのは、単なるボトルではありません。「オークの芸術性」をテーマに、TIME誌「世界で最も影響力のある100人」にも選出された世界的建築家、ジーニ・ギャング氏がデザインを手掛けました。
手吹きのガラスデキャンタを、ブロンズ製の彫刻的なオークの枝が優しく包み込むデザイン。それは、85年もの間、オーク樽が貴重な液体を抱き、育んできた姿を象徴しています。
未来へ繋ぐチャリティーオークション

このリリースのもう一つの重要な側面は、未来への貢献です。世界限定125本のうち、シリアルナンバー1番のデキャンタは、2025年11月にクリスティーズのオンラインオークションに出品されます。
その収益は、米国の森林保護団体「アメリカンフォレスト」に寄付され、ウイスキー産業に不可欠なアメリカンオークの森林再生・保全活動に充てられます。ウイスキーがオーク樽から恩恵を受けるだけでなく、その未来を守るために還元するという、G&Mの哲学が表れています。
製品情報

商品名: ゴードン&マクファイル グレンリベット 85年 1940
アルコール度数: 43.7%
世界限定本数: 125本
国内参考小売価格: 27,500,000円(税込)
英国での参考小売価格: 125,000ポンド(約2,625万円)
ジョージ・アーカートの85年前のビジョンが、現代最高の建築家のアートと融合し、そして未来の森林を育むための遺産となる。このボトルは、ウイスキーという液体が到達しうる、文化的な頂の一つと言えるでしょう。